EMCを学ぶ

EUの2.4GHz無線機器の認証について

【EN 300 328】V1.7.1とV1.8.1の技術要求の違い

2015年1月1日からEN 300 328が完全に旧バージョンEN 300 328 V1.7.1からV1.8.1に切り替わりました。対応はお済みでしょうか。

今回の規格改訂により、スペクトラムを共用するための機能が必要になりました。例えば送信前受信チェック (LBT: Listen Before Talk) に基づいた検知と回避 (DAA: Detect and Avoid)などで、その評価方法もV1.8.1にて規定されています。下記にEN 300 328の新旧バージョンを比較して主な技術要求の違いをまとめてましたので、ご参照下さい。

ETSI EN 300 328 の旧バージョンV1.7.1と新バージョンV1.8.1を比較したときの主な技術要求の違い

試験項目 EN 300 328 V1.7.1(2006-10) EN 300 328
V1.8.1(2012-07)
機器のタイプ   FHSS*とDSSS* FHSS*と他の広帯域変調に分類して規定
アダプティブ機器と非アダプティブ機器を分類して規定
RF 出力電力 最大 e.i.r.p. 100mW 平均 e.i.r.p. 100m W (ビームホーミングアンテナ利得を考慮する必要)
電力スペクトル密度
(FHSS以外)
電力スペクトル密度
最大 e.i.r.p. 10dBm/MHz
電力スペクトル密度
平均 e.i.r.p. 10dBm/MHz
デューティサイクル、
送信シーケンス
送信休止時間
定義なし デューティサイクルは宣言した最大値以下でなければならない
- FHSSの場合: 最大シーケンス送信時間≦5 ms, 最小送信休止時間≧5 ms
- 非FHSSの場合: 最大シーケンス送信時間と最小送信休止時間をMとし
Mの範囲は、3.5mS < M < 10mS
滞留時間, 最小周波数
占有およびホッピング
シーケンス (FHSS のみ)
周波数ホッピング要求事項:
滞留時間 < 0.4s
ホッピング・チャンネル,
ホッピング・シーケンス
滞留時間, 最小占有周波数とホッピング・シーケンスホッピング周波数間隔: 新しい制限
メディアアクセスプロトコル メディアアクセスプロトコルが 実行されなくてはならない MUファクターは e.i.r.p. > 10mWの非アダプティブ機器にのみ適用限度値: ≦ 10%
アダプティビティ 要求事項無し アダプティブ機器にのみ適用e.i.r.p. > 10 mW
占有周波数帯域幅 要求事項無し 使用周波数帯内にOBW*の99%が落ち込んでなければならない。
FHSS と非AFH*機器 (e.i.r.p. > 10 dBm):
占有周波数帯幅 ≦ 5 MHz
非FHSSと非AFH* 機器 (e.i.r.p. > 10 dBm):
占有周波数帯幅 < 20 MHz
送信機の帯域外領域不要輻射 要求事項無し 帯域外にマスク制限を規定する
送信機のスプリアス領域の不要輻射 定義済み 限度値は変更ないが、測定時のRBW*の設定と検波器に変更あり
受信機の不要輻射 定義済み 限度値は変更ないが、測定時のRBW*の設定と検波器に変更あり
受信機のブロッキング 要求事項なし アダプティブ機器のみe.i.r.p. > 10mW

*注

  • FHSS: Frequency Hopping Spread Spectrum (周波数ホッピングスペクトラム拡散)
  • DSSS: Direct Sequence Spread Spectrum (ダイレクトシーケンススペクトラム拡散)
  • OBW: Occupied Bandwidth (占有周波数帯域幅)
  • AFH: Adaptive Frequency Hopping (アダプティブ周波数ホッピング)
  • RBW: Resolution Bandwidth (分解能周波数帯域幅)

Posted:2015/02